« 【<公務員制度改革>官邸、官僚人事崩せず 今夏も年功序列、改革は後退】 | トップページ | 有事の円買い。 »

2010年8月 2日 (月)

年功序列は時代に合わない。。。




高知新聞7月31日の夕刊に、『日本の実力―研究―』という記事がある。


研究者の海外流出についての記事なのだが、この中で、シンガポールに移住して研究を続けている伊藤嘉明元京大教授はこう語っている。


「研究者の頭脳流出はどんどんすればいい。問題は一度出て行った人が帰ってこられない日本のシステムだ。」
「日本は官僚がモデルの終身雇用制で、明治以来変わっていない。定年を超えたから研究能力がないと考えるのはとんでもない無駄だ。」
「(日本に帰国して研究を続けて欲しいと言われたら)喜んで帰ります。でももう71歳だから(日本のシステムでは)無理ですよ。」





伊藤氏は終身雇用を問題点として上げているが、実は日本ではバブル崩壊以降公務員を除いて終身雇用は崩壊してきている。


僕は、ことの本質は終身雇用ではなく、年功序列という制度にあると考える。


今の日本は、終身雇用が崩れたのにもかかわらず年功序列がなかなか崩れず、それが様々な問題を引き起こしているのである。





たとえば、よく言われる格差拡大も、正社員保護、高齢労働者保護が行き過ぎた結果として若年労働者層や女性、中途退職層に低賃金・非正規雇用の苦しみを強いていることが原因だし、官僚の天下りがなくならないのも年功序列に従ってベテラン官僚を処遇するために外部にポストを開拓しているのが原因だと言える。





そもそも、年功序列という制度は組織が常に継続して拡大していかないと維持できないシステムだ。


それなのに、それを成長産業だけでなく国全体で推し進めてしまったために、人口増加が止まって社会が高齢化し、経済成長も鈍化した今、問題が噴出してきているのである。


今の日本が立ち直るには、この古いシステムをやめて、新しいシステムに移行することが急務だと言えよう。





その候補としては、僕は“業績連動成果報酬型職務給”を提案したい。職務・職責をもとに給与基準を決めるとともに、企業全体・チームでの成果に応じた成果報酬をミックスする給与体系だ。


昔流行したような“個人成果主義型成果報酬”では、個人の利益と全体の利益の間に経済学で言うところの“合成の誤謬”が生じてしまい、組織としての利益が伸び悩んだり、従業員のモチベーションの低下を招いてしまうからだ。





さて、この時代にそぐわなくなった年功序列という制度であるが、外資系を中心に採用しない企業が増えてきている。


この流れが進んで職務給が一般的になれば、能力のあるベテラン労働者はもちろん残るが能力のない者の所得は下がり、その分が若年層の所得上昇をもたらすことで格差問題・少子化への強力な対策となるだろう。


正規・非正規という垣根も意味を持たなくなって全てがただの“労働者”となるし、定年という概念も意味を持たなくなって高齢者でも能力に応じた処遇(報酬)を得て働き続けることができるようになる。


また、転職・再就職の市場が充実することで労働者の企業に対する地位が上がり、国民全体の所得水準も上がるだろう。


生活保護などの社会コストも低減されるに違いない。


なにより、あまり成果を出さなくても養ってもらえるシステムよりも、(全体・チームの)成果に沿った報酬が与えられるシステムの方がモチベーションが上がるから、国全体の生産性も上がるだろう。





しかしだ。日本型大企業は未だに年功序列的な運用が残っているし、公務員・官僚の世界ではガチガチで残っている。


民主党政権となって初めての本格的な府省幹部人事でも、年功序列による処遇が公然と残り、公務員制度改革は遅々として進まない。


現政府には、口だけでない、真摯な実行が望まれる。


年功序列を崩すという観点から言えば、ベテラン正規雇用者だけを保護する解雇規制の緩和・撤廃とセーフティネットとしての職業訓練の充実などを期待したい。







« 【<公務員制度改革>官邸、官僚人事崩せず 今夏も年功序列、改革は後退】 | トップページ | 有事の円買い。 »

★バックナンバーすべて★」カテゴリの記事

☆経済・社会・政治のはなし☆」カテゴリの記事

2017年4月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            

ウィジェット

  • twitter
無料ブログはココログ