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2011年2月 5日 (土)

三橋貴明氏のリフレ論の誤りはここを指摘しよう。。。






どうもやっぱり、三橋貴明氏の暴論を信じてしまう人がまだ多いようなので、ある人に向けて書いたコメントから簡単に指摘できる誤りを書いておきます。






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財政出動をどんどんやれば、たしかにインフレにはなります。

問題は、財政出動をいつ、どのようにやめるかです。

将来の経済成長に資するインフラ投資の乏しい日本の現状では、財政出動によって増えたGDPは、財政出動をやめると消失します。



また、複数年度で考えてください。

1年目、10兆円の財政出動をしてGDPが10兆円上がったとします。

2年目、また10兆円の財出ではGDP成長は0です。なので20兆円の財出をしてGDPを10兆円成長させる事にします。

3年目、20兆円の財出ではGDP成長が0なので、30兆円の財出をしてGDP成長を10兆円にしました。

これの繰り返しです。



最初のGDPを500兆円と設定すると、3年間でGDPは30兆円増えて530兆円になりましたが、債務残高は60兆円も増えてしまいました。

これで、三橋氏の言うように債務残高対GDP比は改善されますか?





補足。。。

先ほど3年間で60兆円も費やして530兆円にしたGDPですが、財政出動をやめると500兆円に戻ります。政府以外の消費主体がいないからです。結局、債務残高が積みあがっただけですよね?財政出動は、長期の経済成長を約束しません。あくまで、一時的にGDPが減少するときにそれを支えることができるだけです。ただの先送りなので、出口が必要なのです。

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あと、対外債務か対内債務かはそれほど意味を持ちません。デフォルトのリスクを考えるなら、国債がどの通貨建てであるかが重要です。



それと、95%が国内で消化されているから日本政府は借金を返済する必要はないというのも誤りです。

借りたものは返さないといけません。それができなくなればデフォルトです。国債を買った人にお金が戻ってこなくなります。

なので、自国通貨建ての債務だけの場合、自国通貨が暴落しても返済額は増えないので、政府はインフレを起こしてデフォルトを避けようとします。

しかし、財政出動でインフレを起こすと、揺り戻しを避けるには財政出動の規模をどんどん増やしていかざるを得なくなります。そして、やがて行きつく先はハイパーインフレです。

また、そこまでいかずに財政出動をやめるなら、かなり大きな景気後退を経験するとともに、政府は大増税かデフォルトをしなければならなくなります。

結局は今の国民が負担を免れても、そう遠くない将来の国民がそれらの負担を押し付けられる事になるのです。



残念でした。。。





あ、ちなみに、財政出動の間にそれ以外の民需が増えれば大丈夫じゃないか?という問いにはこう答えましょう。

『それなら財政出動なしでもその民需は増えるってば』と。

財政出動で無駄金使う必要はありません。。。















補足①。。。2011.10.5

説明をわかりやすくするために乗数効果を省いてモデルを示したことに引っ掛かる人がいるようなので、近年の政府支出乗数が1に近いことを補足しておくと共に、すごく贔屓目に乗数を3と見積もった場合のモデルを示しておきます。


まず、最初のGDPは同じく500兆円と設定します。

1年目、10兆円の財政出動をしてGDPが30兆円上がり、530兆円になりました。政府支出は10兆円増えています。

2年目、また10兆円の財出ではGDP成長は0です。なので20兆円の財出をしてGDPを30兆円成長させる事にします。GDPは560兆円になり、政府支出積算は30兆円になりました。

3年目、20兆円の財出ではGDP成長が0なので、30兆円の財出をしてGDP成長を30兆円にしました。GDPは590兆円になり、政府支出積算は60兆円になりました。

4年目、30兆円の財出ではGDP成長が0なので、40兆円の財出をしてGDP成長を30兆円にしました。GDPは620兆円になり、政府支出積算は100兆円になりました。

5年目、40兆円の財出ではGDP成長が0なので、50兆円の財出をしてGDP成長を30兆円にしました。GDPは650兆円になり、政府支出積算は150兆円になりました。ここで政府支出積算がGDP増加分に追いつきます。

6年目、50兆円の財出ではGDP成長が0なので、60兆円の財出をしてGDP成長を30兆円にしました。GDPは680兆円になり、政府支出積算は210兆円になりました。さぁ困りました。GDP増加分は政府支出積算に抜かれてしまいましたよ。

7年目、60兆円の財出ではGDP成長が0なので、70兆円の財出をしてGDP成長を30兆円にしました。GDPは710兆円になり、政府支出積算は280兆円になりました。残念なことです。

以下、これの繰り返しで政府支出積算がGDP増加分をどんどん引き離していきます。乗数を上げてみても同じ。いつかは政府支出増がGDP増加分を上回ります。政府債務残高対GDP比を考えても同じ。永久に逃げ続けることはできないのです。


また、この間民間投資が増えれば銀行はそちらに資金を回した方が得なので国債から資金をシフトします。つまり国債が買われなくなって長期金利が上がるわけです。こうなると益々政府債務残高は増加していきます。あしからず。。。


さて、再び問います。これで三橋氏の言うように政府債務残高対GDP比は改善されますか?





補足②。。。2011.10.5

ついでに、よく言われる『経済波及効果』っていうのを素直に信じちゃう人たちには、こちらのリンクをプレゼントさせていただきたいと思います。どうぞ。。。http://www7.ocn.ne.jp/~mfukuda/edec03.pdf





補足③。。。2011.10.6

それから、政府が財政出動を拡大して民間の資金需要が増加したときには、この民間資金需要の増加は政府の財政出動の上に乗っかっているものなので、土台部分の政府支出がなくなれば当然、乗数効果ごと一緒に消えます。これくらいは補足するまでもないとは思うんですが、念のために。ね。。。








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